聖駿学園物語 年末番外編
〜聖学職員のとある忘年会〜

 「「「「「カンパーイッ!!」」」」」
 ここは居酒屋『黒木屋』。森山先生の提案でちょっと早めの忘年会の始まり始まりー!
「かぁーっ!やっぱり仕事の後のビールはうまいなぁ!!」
「もう嫌ですわ、森山先生ったら。あら、麻里亜ちゃんももっと飲んで飲んでv」
「やめて下さいよ滝川先生ー、私二十歳になったばっかりなんですから。それに始まったばっかりですよー、色々話しましょうよ!」
「お話?どんなお話?」
「んーそうですねぇ。それぞれのクラスの話とかどうです?うちは土屋君と如月さんがすっごいラブラブだから、私も彼氏ほしいなーって思っちゃうんですよねー」
「佐々木さん彼氏いないの?」
「えっ、まぁ……それは置いといて、先生のクラスはどうです?」
「うちは平和よ。皆いい子達だし、違うクラスの子が持ってくる本から
色々出てきたりして楽しいわよv」
「へー、飛び出す絵本かー」
 就職1年目の新人・佐々木先生にとってはまだまだ知らないことが多いようで…。
「森山先生のとこはどうです?」
「あ?俺のとこも楽しいぞー!
キャサリンが来たりしてなー」
「交換留学もあるんですか!?すっごーい!!」
 これはこれで幸せ…なのかもしれない。
「やっぱりすごい学園ですねー。手塚先生に大石先生はどうで…」
 二人のほうを向くと、大石先生は泣きながら酔いつぶれていた。
「手塚〜、わかるだろ?俺だってな、頑張ってるんだよ。出来る限りのことはしてんだよ。病院通いながら胃おさえながらやってるんだよ。でもな〜、わかるだろ〜手塚?俺だってな、頑張ってさぁ〜……」
「大石先生!?大丈夫ですか!?」
「問題ない」
 佐々木先生の問いかけに答えたのは、隣で平然と飲んでいる手塚先生。
「そうですか、手塚先生がそう言うのなら」
「問題ない」
「はぁ……」
「マリアちゃーんv」
「ひゃっ!!」
 不意に後から森山先生が抱きついてきた。
「ももももも森山先生!!?放して下さいーっ!!」
「いいじゃねーの、マリアちゃん」
「私二十歳ですしっ!!まだまだこれからで…滝川先生ー、助けてーっ!!」
 助けを求めるも、振り向いた滝川先生は…。
「な〜に?私に用があるっていうの?ヒック、私に頼み事しようなんて、ずいぶんと偉くなったものね。そこっ!!秀二郎ウジウジしない!!!」
「た、滝川先生…目が据わっちゃてる……誰かー、助けてー!!はっ!!手塚先生!手塚先生っ!!!」
「問題ない」
「問題なくないですよっ!手塚先生…何やってるんですか!?焼き鳥に七味唐辛子1瓶かけちゃダメですよ!!」
「問題ない」
「だから問題大有りですよっ!口真っ赤じゃないですか!!はっ!酔ってるんですか?酔ってるんですねっ!?キャーッ!!誰かーっ!!」
 佐々木先生が一人でジタバタしていると障子戸が開き店員さんが入ってきた。
「失礼します……お客様…………」
 笑顔が徐々に引きつり、
何ごともなかったかのように障子戸を閉めようとする。
「ま、待って下さい!」
 森山先生を押しのけ閉まるのをなんとか阻止する。
「あの…何でしょう?」
「……聖駿学園の職員の方々ですよね?」
「……はい…一応」
「小包をお預かりしておりますので。これを。それでは失礼いたします」
 店員は小包を置いて、そそくさと去っていってしまった。
「マリアちゃーん!誰からだい?」
「えっと……理事長からです」
「あーら、理事長からですって?けっこういい演出するじゃない」
「理事長……」
 佐々木先生は理事長の話はよく聞くのだが、実際に会ったことはない。その話もあまりいいものではないし、かなり不安になる。
「なになに?『忘年会、僕は行けなくてすまないね。お詫びといってはなんだけれど、これで
色々と忘れてもらえると嬉しいな』だとよ」
「あの…開けるのやめません?」
 そのメッセージカードに含まれている色んな意味に、さらに不安になる。
「何が入ってるかしらv」
 佐々木先生の言葉は無視され、小包は開かれる。

ボンッ!!









――職員日誌―― ○がつ△にち あめ ささき
りじちょ の ぷれぜんと の おかげ で かんじ を わすれる。
ほか の せんせい たち は ぼうねんかい じたい を わすれている よう です。
たきがわ せんせい は こども を ほいくえん に あずけていた ことも、
おおいし せんせい は おくさん の こと を おぼえて なかった よう です。
たすけて ください。

――完――

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