聖駿学園物語 クリスマス番外編
〜サンタはいるのか、いないのか〜

 『昼ごはんまで生テレビ 徹底討論!サンタはいるのか、いないのか!?』
 派手な効果音とOP曲と共に、中央ステージにスポットライトが当たる。
「えー、やってまいりました。昼ごはんまで生テレビ!司会を努めさせてもらいますは大石秀二郎です、よろしくお願いします。では早速、討論をしていただくメンバーを発表いたしましょう。サンタは『いる派』の皆さんはこの方々です!」
 ステージ左側が明るくなって、土屋実沙、犬飼美音子、柳浩太郎、越前亮、西川直也の5人が現れる。
「続きまして『いない派』の皆さんです」
 残り右半分がライトアップされ、柳璃奈、小日向姫乃、犬飼十一、佐々木柱断、花園玲の5人が現れる。
「それでは第一回戦、スタート!」
 ゴングが鳴り、『いる派』の3人が先制攻撃をかける。
「はい、はいっ!サンタさんはいます!昨年はサッカーボールもらいました!」
「僕も枕元に『基礎魔導術中級編』があったよ!」
「ねこも〜、あめとか〜、くっきーとか〜、きゃんでーとか〜、あと、
ごでばのちょことかもらったの〜」
 十一が手を上げ、発言した。
「いいかい美音子、あめとキャンディは同じだよ。それに、貰ったって誰からだい?」
「さんたさん」
「どうして?」
「あかいふくきてたの〜」
「誰かに似てるなーって思わなかった?」
「おとうさま」
「ほらね、美音子はサンタさんじゃなくてお父様からプレゼントをもらったんだよ」
「でもおとうさま、おひげないよ〜?」
「あれは付けヒゲだよ」
「つけひげ?なにをつけるの〜?おしんこ〜?おそば〜?」
「いや…そうじゃなくて…」
「あぁーっ、もう十一はダメなんだから!いい美音子、サンタさんはお話の中にしかいないのよ!!」
 姫乃が説得を試みるが…。
「はい!お話の中にしかいないって、本の中から出てくるんだよ!僕、本から色々喚べるよ!今喚んでみせるよ!」
「「何をっっ!!?」」
 佐々木と玲の突っ込みもむなしく、話は進む。
「義姉様、彼が喚び出したら私が対応いたしますわ。これだけ観客がいるんですもの、充分な量が集まりますわ」
「いや、姫乃大丈夫だ、何とかする。いいか、本の中から喚べるのはこうちゃんだけなんだよ。それに、クリスマスの前に何がほしいかお母様達が聞いたでしょう?」
「あれは、お母様がサンタさんに頼むために聞いたんだよ!!」
「誰もサンタさんには伝えていないと言っているけれど?」
「あのお母様だもん、ウソくらい吐くよ!それに、もし言ってなくってもサンタさんは璃奈ちゃんみたいに思ってること読めるんだよ!!」
「…こうちゃん、姫乃みたいにそこまではできないんだよ」
「ウソだウソだ!!」
「五月蝿ーーーい!!私にもしゃべらせろーっ!!」
 机をドン!!と叩いて佐々木は立ち上がった。
「いいか愚民ども。サンタというのはだな、アメリカのコカ・コーラ社が販売促進のために造り出したキャラなんだぞ!!」
「そうよそうよ、私にもしゃべらせなさい!サンタなんているはずないじゃないの!それにそこの二人!!明らかにこっち側でしょ!」
 玲は亮くんの直やんを指差す。
「何を言うかと思えば。実沙がサンタはいると言ってるんだから、いるに決まってるじゃないか。ねぇ、実沙」
「う、うん!サンタさんは絶対にいるんだから!」
「せや、ねこちゃんの夢を壊したらあかんで!!」
「媚売って、プライドはないの!?」
「「ない(で)」」
「…………………………………………バカだわ」
 がっくりとうなだれる玲。
 と、照明が全て落ちた。
「うわっ!なんや、どうしたんや!?ねこちゃん大丈夫か!?」
「ふに〜、まっくらなの〜」
「実沙、そこにいて。俺がそっちに行くから」
「う…うん」
「どういうことなの?十一、何が見える?」
「いえ。特には何も変わっていませんが、姫様」
「み、み、皆、落ち着いて!先生がブレーカー見てくるから!!」
 すると、鈴の音が鳴り雪が降り始めた。
「ま、まさか!!?」
 スタジオ上空にきらびやかなイルミネーションが灯り、ゴンドラが降りてくる。そこには!
「やぁ!みんな、サンタはいるに決まってるじゃないか。そう、この俺こそが夢と希望と
璃奈に愛を与えるサンタさんなのさ!!」
「イチ!!」
 璃奈様は反射的に、机の上にあった自分のネームプレートを投げつけた。
「やけにおとなしいと思っていたが、こういう企みがあったとは!」
「痛いじゃないかハニー!俺がサンタさんだということは一目瞭然!ほら見てごらん、彼女達を」
「見て見て見て!!亮くん!!!本物だよ本物!!」
「うわーーーっ!クリスマス前なのに来てくれたよ!!」
「すごいの〜、おそらとんでるの〜!!」
「……………………」
「どうだいハニー。俺はサンタ、いや、
神の使いなのだよ!!!」

「………………引きずり降ろせっっ!!!」









「いつものことだけど、ハチャメチャね……」
 教室でてるてるはずっとその様子を見ていた。今、テレビ画面は『しばらくお待ち下さい』と出ている。
「てるてる…」
「何、つっちー?」
「見ただろう!!さっき、さっき実沙があのバカとイチャイチャしていたのをっ!!」
「あ、あれは…」
「Bスタジオに行くぞ!!ぶっとばしてやるっ!」
「ちょっと、つっちーってば!!」

――完――

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